カタストロフ・マニア:島田雅彦

小説
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預言の書

この小説が小説「新潮」発表され始めたのが、2016年2月頃である。驚いたことであるが、それから4年経ち、コロナが始まってしまった。今のコロナに比したら、その内容は更に衝撃度は高いが、同じパンデミックとして、よくもまあ、このような純文学系SF小説を書いたものだと驚いてしまう。今のコロナであるからこそ、この予言の書のような島田雅彦の小説は読む価値があるだろう。SF好きの専門家連中からは色々なご指摘や注文もあるだろうが、それなりに、面白いし、考えさせられるところもある異色な小説と言えるだろう。

この小説に対するカスタマーレビューのコメントに次のようなものがある。

冥い予言の書。シオランか。ディテイルがリアル。これこそ文学。コロナ騒動後に読むと全く趣が違う。久々に小説で戦慄が走った。今こそ多くの方に『ペスト』より先に手に取って欲しい一冊。事実は小説より奇なり。これはノストラダムスも驚嘆する結果に…。隠れた問題作ということになろうか…。

小説そのもの

なぜか自分以外には誰の姿も見当たらない…。治験バイトのため入っていた病院で、長い眠りから覚めたシマダミロクは驚愕する。事態を解明すべく都心に向かった彼が他の生存者たちの力を得て知ったのは、「太陽のしゃっくり」を引き金に原発危機、感染症の蔓延、ライフライン停止が同時発生し、人類が滅亡へとまっしぐらに突き進んでいること。そんな絶体絶命の状況下で、看護師の国枝すずに囁かれた言葉がミロクの頭をよぎる。「最後の一人になっても、頑張ってくださいね」。驚異の想像力で我々の未来を予見する、純文学×SFの到達点!

内容

このまま黄昏ちゃっていいのか、人類。

要は、こういうことだよね。『このまま黄昏ちゃっていいのか、人類。』ってとこだろうな。島田晴彦自身が言っているように、この小説は2011年の東日本大震災後に思ったことだが、電力が途絶えた中で人はどう生きていくのか。実際に、太陽のしゃっくり、コロナ質量放出が起きれば、巨大な磁気嵐によって電気・ガス・ネット等のインフラが全て消失する。そんなカタストロフが起きたらどうなるのか?人間は。その上に、この小説では、合成ウィルスによるボトルネック病が全世界を席巻し、人類が淘汰されていく。今のコロナウィルスを意識させてしまうもう一つのカタストロフがある。

このような時に、人はどうするべきなのか?筆者は自然がそのようなカタストロフを引き起こした究極の原因であるのなら、人は自然に還り、原点から再出発すべきであろうと。

兎にも角にも、だ。島田雅彦は、このコロナを予言した。小説で。そして、その向こうにある今後の闘い方についても触れた。この小説の凄いところは多分、ここまでのパンデミックを小説の中で起こしたことだろう。もし、今のコロナウィルス問題に、地磁気問題や宇宙放射線や大地震などの地球規模の災害が重なったら、人はどうしていくべきなのか?

今、黄昏ている場合ではないのである。すぐそこにある危機なのだ。ウーム。

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