小松菜奈の主演映画が9月に公開される。『ムーンライト・シャドウ』だ。原作は、同名の吉本ばななの短編小説である「 ムーンライト・シャドウ 」である。まずは、原作に触れてみよう。そして、インプレッションを受けた音楽にも。
『ムーンライト・シャドウ』2021年9月10日(金)公開、映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)
吉本ばなな
吉本ばななの本当に処女作風作品。日芸の卒業制作作品でもある。この短編に感動した。涙したという人はもの凄く多い。カスタマーレビューには、こんな声が一杯だ。
特別な絆で結ばれたふたりの片方が死んでしまったとき、こちら側に残った者の再生の方法については、ひととおりではないし、百通りの方法でもカバーすることはできない。しかし、わかっていることがある。 それは生者は死者と手を取りあって生きることはできないということだ。二ヶ月前に交通事故で恋人を失った さつきが、苦しみながら「長いトンネル」を抜け出そうとし、あるできごとを体験することによって、そのきっかけをつかむ。ストーリーはこれだけなのだが、実際に読んでみると深く強く感動する。わたしはいい歳をして、あられもなく泣いてしまった。
カスタマーレビュー
ムーンライト・シャドウ
愛する人との出会い、そして永遠の別れ。味わったことのない孤独、底なしの喪失感に苦しむ主人公は、未来に向かって歩き出す。88年福武書店刊「キッチン」に収められた「ムーンライト・シャドウ」の英文対訳。
内容紹介
以下のニュースに、吉本ばななのコメントがある。
Mike Oldfield:Moonlight Shadow
吉本ばなながこの小説を書くに至ったのに影響を与えたのが、1980年代にヒットをした「マイク・オールドフィールド」の『 Moonlight Shadow 』だ。
特徴あるイントロのフレーズがアメリカ映画『エクソシスト』(1974年)に使用されたこともある、全英1位を記録したアルバム『チューブラー・ベルズ』でデビューしたイギリスの有名なミュージシャンだ。
ムーンライト・シャドウ
公式サイト:映画予告
映画『 ムーンライト・シャドウ 』の位置づけ
この映画の原作小説『ムーンライト・シャドウ』の主人公に、小松菜奈を選んだのは大正解であっただろう。まだ若いとは言え、色々な映画に出演してきた小松菜奈は、若手女優の中でも、実力派演技女優になりつつあるからだ。
今回の喪失と再生という永遠のテーマの女性主人公には、彼女が持って来いであったと思える。そして、死んでしまった彼氏に、宮沢氷魚を配したのも正解であったろう。
生の時間が光っているからこそ、この突然の喪失が遺された者達に与えることの大きさは計り知れない。
人は立ち直れるのか。
愛する人を亡くしたさつきが、満月の夜の終わりに死者と再会できるという「月影現象」を通して、悲しみを乗り越えようとするさまを描く。
満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない。
月影現象。
大事な人を喪った時に、物凄い哀しみの底から、人が、少しずつ“生きていくという日常を取りもどしていくその流れとは。人間のあるべき姿が映画に映し出されていく。
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