村田沙耶香っていう小説家は、何なんだろう。とても、不思議な世界の小説を提供してくれるんだけど、普通の世の中の話なのに、何故か、何とも言えない感じのSF的なところや異次元なところに、気持ちが軽くなるような柔らかい感じで連れて行ってくれるので、不思議なのである。だから、結構、ハマる。
こういう感性を持っている人って、実は、超能力に近いのかもしんないな、とまで、思ってしまうのでもある。凄すぎるのである。世の中や人の見方が。切り口というか、感性が。そして、とても、誠実で純粋で。好きだなぁ。こういう感じ。
それなので、この人の頭の中はどうなっているんだろうな?って思うのだけれど、その糸口を見つけたのであった。
それは、どうってことはないのだが、彼女のエッセイに、その秘密の一端が書かれているのである。
フムフム、そういうことか?村田沙耶香は、こういう見方や考え方をするんだと。そのエッセイにある全ての記事を読めば、この作家の異能なる所以が少し判ってくる気がするのだったのだ。
それは、『となりの脳世界』っていう、エッセイだ。
となりの脳世界 (朝日文庫)
デビューから現在まで各紙誌に書いてきたエッセイを一冊にまとめた決定版。小さな頃の思い出から、影響を受けた本や音楽、旅先での出来事、今まで気づかなかった勘違いに、コンビニバイトのこと。解説は矢部太郎が漫画で描く。
内容紹介
例えば、村田沙耶香曰く、人の脳の数だけ世界があるって奇妙で素敵なこと。
自分ではない誰かの脳を借りて、そこから見える世界を、のぞいてみたいなあと、いつも思っています。
思えば、もう二十年以上もこそそめスープのある世界で育ち、生きてきたのだ。私は、それが嘘である世界には、もう戻れないのだった。
村田沙耶香は社会人になるまで、コンソメスープをコソソメスープだと思っていたのだ。これは、天然なのか、それとも、天才なのか?そして、その純粋な天然さは、世の中のモノゴトを新しい視点で見つめ直してくれるのだ。とても、可笑しく。
あの名作である『コンビニ人間』のベースになる、この言葉。
私が貴方を好きな一番の理由は、貴方が私を人間にしてくれたからです。貴方はヒトではない、と皆は言いますが、貴方と出会うまで、ヒトではないのは私のほうでした。少なくとも、上手に人間ができる人間でありませんでした。貴方の側にいることで、初めて、私は人間になったのです。
村田沙耶香はとても不器用な人間であることを、このエッセイの中で、随所に述べている。だが、それだからこそ、とても、人間として繊細で、モノゴトの本質を見極めている異能のヒトなのである。
そうなのである。❝クレイジー沙耶香❞は、異能のヒトなのである。地球の誰よりも。宇宙人かもね。
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