神秘:白石一文

ポール・オースター
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白石一文の小説

面白い小説に出逢った。読むべき本として、紹介しておいた方が良いと感じた。白石一文の『神秘』だ。

そう言えば、ちょうど1年前に、白石一文の『君がいないと小説は書けない』という私小説的なものにこのブログで記事を書いていたことがあった。確か、その小説の中にも、死と生と幸福ついて、筆者の独特な考え方があったが、今回、久しぶりに読んだ彼の『神秘』はそれを凌ぐ面白さであった。

今回は、人の死と生、人の運命と繋がり、超能力の存在、輪廻転生はあるのか、神の存在はあるのか、人を救うとは癒すとは、等々の誰もが気になる点について、実際の阪神大震災や3.11大震災のリアルな現実と相待った形での人の人生の在り方について、白石一文らしく、それなりの示唆をしている小説なのであったね。

君がいないと小説は書けない:白石一文
白石一文の本『君がいないと小説は書けない』は、彼の自伝的な小説である。この小説は、色んな意味で面白い。人生論であり哲学書でもあり幸福論の本でもあると考えることもできる。

神秘:¥2,090

余命一年で知った、本当の人生――

末期のすい臓がんで余命宣告を受けた53歳の出版社役員・菊池は、治療を放棄し、「病を癒す女」を探すため、神戸へ移り住む。
がんに侵されたのは、運命か必然か。未知の土地、これまでの生活とまるで異なる時間の流れに身を置き、菊池は体内にがんを生み出した「もう一人の自分」の声を聞く。
死に向かう人間の直感、思いがけない出会いの導きに翻弄されながら、偶然のひとつひとつが結びつき、必然へと姿を変えていく。やがて、彼の目の前に描き出される「神秘」の世界。その景色の中に求めていた答えを見つけ、男は新たな人生を歩み出す。渾身の最新長編小説。

《本作について》
すべてを失ってもなお、人は生きたいと願うのはなぜだろうか。
この小説は、私たちにとって根源的なテーマを、「余命一年」の男の思考と行動を通して問う。
著者はこれまで多くの作品で人と人の絆について描いてきたが、本作では家族、仕事、恋愛など社会的なつながりを断ち切った男が孤独になってようやく自分の人生と向き合い始める。
最先端の医療をもってしても未だ決定的な治療法がない、がんというミステリアスな病をどうとらえるかも本作の興味深いテーマのひとつとなっている。主人公は『奇跡的治癒とはなにか』という本を引き写ししながら、がんを克服する術を模索する。そこには自身もがんで家族を亡くした著者の解釈が反映されている。「がんを経験した人にこそ読んでほしい」と著者は言う。
デビューから十五年。この世界と人間の営みを明かす壮大なテーマに挑む白石文学の「集大成」というにうふさわしい傑作の誕生。

事実は小説よりも奇なり

この小説のモチーフは、題名「神秘」にあるように、超能力者に関してのことであると言って良いだろう。それは、「事実は小説よりも奇なり」というか、「嘘のような本当の話」ってなところと言っても良いような話なのである。それは、超常現象っていう世界になるのか、超能力っていう言葉に言い換えていいのか、運命の流れって呼んでも良いのか、分からないけど、そんな話のことなんだよね。

この手の小説やエッセイで面白いっていうのは、白石一文がこの小説の中でも紹介しているけど、ポール・オースターの『トゥルー・ストーリーズ』だろうね。間違いなく。簡単に読めて、そして、心にストンと堕ちてくる感じだ。

トゥルー・ストーリーズ :¥731


トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)

ちょっとした偶然。人知を超えた暗合。ときに茫然とし、ときに立ち尽くしたその瞬間を人は容易に忘れるが、作家は忘れない。自らの体験を元に驚くべき偶然の連続を、しかし淡々と綴る名作「赤いノートブック」を始め、無名時代の貧乏生活を軽やかに描く「その日暮らし」、9.11直後のNYに捧げた「覚え書き」など、柔らかななかにも力強い声が聞こえる傑作エッセイ集。日本独自編集。

月の満ち欠け:¥935

そして、日本では、佐藤正午の『月の満ち欠け』や『5』なんかに代表されるかもしれないな。まあ、 『月の満ち欠け』 は輪廻転生系の話ではあるが、ある意味、超常現象ではあるかもしれないな。 『5』 は、そのまま、愛に関する超能力者の話でもある。


月の満ち欠け

あたしは,月のように死んで,生まれ変わる──目の前にいる,この七歳の娘が,いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の,三十余年におよぶ人生,その過ぎし日々が交錯し,幾重にも織り込まれてゆく.この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は,戦慄と落涙,衝撃のラストへ.

5:¥0(Kindle版)


5 (角川文庫)

「記憶術」をマスターしていて、”手のひら”を相手と重ねるだけで、相手に「(愛を主とした)「記憶」を蘇らせる」能力を持った女石橋の存在がこの小説の肝である。

超能力者は存在するか?

白石一文の『神秘』に出てくるように、世の中には、果たして、超能力者がいるのだろうか?昨今、アメリカのマーベル映画に出てくるような超能力を持ったヒーローが地球を救う的な話が盛んだが、現実世界に、超能力者が存在しているのだろうか?その話は、そのまま、戸田恵梨香主演の映画・ドラマの『SPEC』シリーズになってしまうのだけれど。

超能力者は存在するか?
超能力者は存在するか?結論から言えば、存在すると考えたい。映画や漫画のレベルではないが、通常の人の能力を超えた人がいるはず。超の世界ではない気もするが。ミスター・ガラス,ジャンパー,クロニクル,超能力者,ストレイヤーズ・クロニクル,MONSTERZ→超能力者映画。

そこまで極端でなくても、実は超能力を持っていて、それを世間には公にせず生きている少数の人がいたりしてと思ってしまうのは、嬉しいことなのか?それとも、大変なことなのか?死後の世界が判らないと同じレベルで、超能力者が存在していることは世の中には出回っていない。それでも、人と人との出逢いの不思議さっていう運命の流れみたいなところはあるように感じもするし、ソウルメイトや輪廻転生とか生まれ変わりを感じるってところもあるような感じもあるし、この世界、そういうことは全くないと言い切ってしまうより、あるかもね?と思っていた方が、何となく幸せな感じがしてしまう俺なのであったよ。

佐藤正午ハードボイルドライフ
佐藤正午の小説が結構面白い。ダメ男を書かせたら、一級品だな。輪廻転生の物語の面白さ。月の満ち欠け。5。鳩の撃退法。輪廻転生。そして、永遠の1/2。

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