彼女について知ることのすべて:佐藤正午小説の映画

彼女について知ることのすべて

佐藤正午小説映画化に関する次なるレポート。それは、『彼女について知ることのすべて』だ。『ジャンプ』の映画化に引き続き、この小説についてなのだ。相変わらず、佐藤正午小説の中にある日常は、自分の周りにありそうな世界なのである。そして、あることから、そこがサスペンスの世界になっていく。自分の身の回りで起こりそうなことなのである。

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小説:彼女について知ることのすべて

佐藤正午小説の基本コンセプトには、今では当たりまえのことではあるが、ダメ男が主人公で存在するところにあるのだ。この小説の主人公の鵜川も、教師のくせに、津田伸一に負けない女にダラシナイ男なのである。そして、弱い。だからこそ、佐藤正午の小説は光るのである。長い話であるが、やはり、最後はそうなるだろうなというオチになった。男は女より弱いのである。絶対的に。そういうことを長い時間をかけて教えてくれるダメ男のハードボイルド小説なのであった。

その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。突然、停電のため暗闇が街を襲う。そして二時間後、事件はすでにわたし抜きで起こってしまっていた。―わたしは小学校の教員。愛した女には危険な愛人がいた。ふたりで殺害計画を企てるが…。男は約束を守れなかった。女は実行した。思いがけない結末。ふたりを待つ現実。切ない「思い」が胸を打つ傑作長編。

映画: 彼女について知ることのすべて

B級映画ではある。しかし、佐藤正午原作を友人である井土紀州監督がその小説をかなり綿密に具現化してあるのだから、それなりに面白いのである。邦画におけるノワール映画と銘打っているのだから、そこもそれで良しとも言えよう。昭和にリターンバックしたかったら、是非観られることをお勧めはする。俳優・女優もそこまで有名ではないかもしれないが、味がある。(?笹峯愛は有名か?)地方を舞台にしたこの手の小説映画化には欠かせない人物だったのではなかろうか?エロスノワールとまで言っているからな。そして、ある意味悪女風の遠沢めいのキャラが立っている。

佐藤正午の原作を笹峯愛主演で映画化したエロスノワール。ピストルを片手にひとり車を走らせていた男。わけありの女とは知らずにメイという女を愛したその日から、平凡な教師だった男の何かが狂い始める。“キング邦画廉価シリーズ2021”。

映画『彼女について知ることのすべて』予告編
佐藤正午原作の人気小説を、『行旅死亡人』などの鬼才井土紀州が映画化した驚がくのラブストーリー。ある地方都市でごく普通の生活を送っていた男が、宿命の相手と出会ったことによる熱狂の日々を、激しい性描写や暴力と共に描き切る。ヒロインを体当たりで演...
出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会

教師の鵜川は同僚教師の美千代と同棲していた。スーパーで美千代の後輩のメイという女性に会ってから、メイの魔性の虜になりメイと関係をもってしまった。

出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会

順調に見えたメイとの愛でしたが、刑務所から出所してきた元彼の真山が現れてから二人の関係は崩れ始めた。

出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会
出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会
出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会

メイは何処に逃げても真山は追ってくると言って、真山が密売していた拳銃を鵜川に見せ、真山を殺そうと持ちかけました。

出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会

鵜川も殺そうと言い、その夜二人は愛し合ったのだ。そして湖畔で殺す計画をし、当日になったのだが。

出典:(C)2012「彼女について知ることのすべて」製作委員会

結局、鵜川は拳銃を使うこともなく、メイが真山を別の拳銃で殺します。そして、8年の月日が流れるのです。刑務所に入ったメイは鵜川の子供を産み、そして、最後に、墓地で二人は出逢う。そして、メイは言う。殺した真山が懐かしいと。メイの中で8年前のことはケリがついていた。鵜川を置いて、メイは墓地を後にするのだった。ここがノワール映画の骨頂かもしれないな。

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