裏切られた俺
正直、ここまで良い宇宙映画であるとは思わなかった。最初から最後まで、全体の流れが良かった。映画の広告コメントが次だが。確かに、その通り。
ブラッド・ピット主演で贈る衝撃のスペース・アクション超大作
宇宙に消えた父の<謎>を解かなければ、人類は滅びる——
自分が予想していた映画と違った。裏切られた感じだ。それも、良い方向で。物凄く宇宙の旅のリアリティがあって、そして、物静かで。ブラッド・ピットが心に傷を持った宇宙飛行士で。自分の心の中に向かう宇宙飛行士ブラピの存在感が素晴らしいし、老けても美しい感じがある。マジに。壮大な宇宙とブラピの心の中の宇宙。宇宙の孤独とブラピの孤独。こんな感じの双極のコントラストがある映画で、これは、現代の2001年宇宙の旅ではないかとハタハタ感心しました。
火星で父親に語りかけるブラピ。
全体の流れ
全体の流れは、Wikipediaが、一番、的確な表現をしているので、一部借りる。
人類は火星に宇宙基地を建造し、地球外生命体の探査に乗り出している。著名な宇宙飛行士クリフォード・マクブライド(トミー・リー・ジョーンズ)の息子であるロイ・マクブライド少佐(ブラッド・ピット)は、優秀な宇宙飛行士となっていたが、16年前の父の事故死が切っ掛けとなり、他者と適切な関係を築くことができず、妻のイヴとも離婚していた。
ある日、地球は大規模なサージ電流に覆われ、全世界で4万人超の犠牲者が発生する。サージによる軌道施設の爆発事故を生き延びたロイは、アメリカ宇宙軍上層部に極秘に招集される。宇宙軍は、16年前に連絡を絶ち、現在は海王星付近に留まっているらしい地球外生命体探査計画「リマ」で用いられていた反物質装置がサージを引き起こしたものと推定する。リマ計画のリーダーであったクリフォードも生存している可能性が強まり、息子であるロイをクリフォードへのメッセンジャーとする。ロイは監視役であるプルーイット大佐(ドナルド・サザーランド)と共に、サージの影響を免れた宇宙軍火星地下基地で、海王星へのレーザー通信を試みることになる。
父は地球外生命体を探索する宇宙船に乗ってから16年後、43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となったとされる。しかし、父は生きていた──。
近未来の宇宙
この映画。あり得るかもしれない”近未来”を舞台に、人類が月や火星に進出した世界を徹底的なリサーチに基づいてリアルに映像化しているのだ。そうなのだ。最初、自分がこのアド・アストラを敬遠したのは、ブラッド・ピットの宇宙服での宣伝広告媒体を見たからなのだ。なんというか、アポロ計画時代の宇宙服ではないか。その頃の時代の映画なのかと単純に思ってしまったのだ。そう、そのセットや小道具は意外なほどに現実的なのだ。
そして、この映画、かなり、宇宙理論がしっかりしている感じがある。
ブラピ最高の演技
こんなブラピを見たことがあるだろうか?この人の演技はついに人知を超えたのではないだろうか。そう思わせてくれる素晴らしいものでした。
ブラピの今までの役の中では、最も静的な冷静にみえる宇宙飛行士の役なのですが、静かな動きや目の表情の中に、動的な多くの感情を観てる側が感じてしまう凄さがありました。どうしたんだ。ブラピ。君は、この世界まで来てしまったのかい。
孤独を感じさせ、深い哀しみを感じさせ、怒りや動揺や愛情が無表情にみえるブラピからどんどんこっちに流れてくる。それは大きな静かな宇宙の孤独さと相俟って、語りかけてくるのだ。畏るべしよ、ブラピ。脱帽です。最高です。
この映画の導くところ
この映画を観た人達の誰もが言っている。これは、単なるSF宇宙映画ではない。この映画が自分を連れて行ってくれるところは、人間そのものの内面なのではないかと。
ブラピも言っている。
「人間の謎や孤独というものを宇宙に象徴させている」と。
壮大で静謐な宇宙を探検していけばいくほど、自分のところに戻っていく。親と子の対話と絆、自分自身との対峙、孤独との対峙、人生とは何かを考えてしまうのだ。この映画の導くところは、そんな哲学的なところなのだ。素晴らしい。人間、幸せになるために、この映画を観る必要がありますね。
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