両雄相並ぶ
宮本武蔵横浜流星と佐々木小次郎伊藤健太郎という二大巨頭。若手役者として、最高の舞台を演じる予定であることを前回書いた。両雄相並び立たずなのか、物凄いアウフヘーベンするか、予定は未定であるが、多分、凄い結果になることは目に見えていよう。
若いエネルギーがぶつかりあうことに、今、こんなに期待できる状況にあることが嬉しい。ちょっとした終末観があったコロナの第1次感染の暗闇を吹き飛ばす大きなエンタメ世界のプレゼントと言えるだろう。
今回は、まず、伊藤健太郎の舞台経験を中心に、みていこう。
続・時をかける少女
上田誠監督作品に初出演の伊藤健太郎
伊藤健太郎の初舞台は、何と言っても、あの『サマータイムマシンブルース』で有名なヨーロッパ企画主宰である舞台監督上田誠脚本・演出の『続・時をかける少女』というSFコメディだったのである。
ケン・ソゴルではなく、時をかける少女の芳山和子の友人の朝倉吾郎役である。
凄い。最初から凄い。上田誠、伊藤健太郎を選ぶか。
サマータイムマシン・ブルース
ちなみに、上田誠を知るためには、伝説の名舞台『サマータイムマシン・ブルース』を押さえておく必要はあります。多分。
舞台版
映画版
この私のブログの中でも記事を書いていますが、上田誠原作脚本の『サマータイムマシン・ブルース』を本広監督が映画化したコメディのSF映画であります。兎に角、若き日の瑛太・上野樹里・佐々木蔵之介・真木よう子・ムロツヨシ等がまだ無名の頃出演していた映画で、かなり面白かったですね。良く出来ていた。そして、出演者の殆どがその後ブレークしています。
時をかける少女
ちなみに、この『続・時をかける少女』を知るためには、『時をかける少女』を押さえておく必要があります。話が長くなって、すみませんね。時代は、リメイク的なものが多くて。
『時をかける少女』は映画もドラマもアニメも、この原田知世主演の『時をかける少女』が世の中に出てから、多くのリメイク作品が出ている。だが、原点は、全てここにあると言えるだろう。(ちなみにのちなみなのですが、NHKでは、この映画の前に、筒井康隆の『時をかける少女』を原作としたドラマ「タイム・トラベラー」を製作していたのです。)
ちなみに、伊藤健太郎が今回やった朝倉吾郎の役は映画では、尾美まさのりが演じていたのだ。
オールナイトニッポンコラボ作品
オールナイトニッポンとコラボした企画であることから、当時この有名な深夜放送である「オールナイトニッポン」のパーソナリティを務めていた伊藤健太郎と新内眞衣が共演しているわけでもある。
あらすじ
2018年。高校生の芳山和子はごく普通の学園生活を過ごしていた。そんなある日、27世紀の未来人だというケン・ソゴルが登場。「自分と和子は1年前に出会い恋に落ちたが、自分が未来に帰る際に全ての記憶を消したのだ」などといきなり突拍子もない話をされる。逃げようとする和子だが、ケンとやってきた隊長、JO73、ジュンに追い詰められ、「頼めるのは君しかいない」とある重大な任務を依頼された。その任務とは、行方不明になった3人の隊員を探してほしいとのこと。謎の女性・玲子も登場する中、次第にタイムトラベルを楽しみながら、行方不明の隊員たちを追う和子だったが―
ヨーロッパ企画SHOP
『続・時をかける少女』での伊藤健太郎
随分と前振りで長くなってしまった。伊藤健太郎に近づく前に。申し訳ない。
そこで、この初舞台での伊藤健太郎である。出演時間はそんなに長くないが、重要な役割を演じたのであるよ。
和子の幼なじみで同級生の吾朗役の健太郎。会見では、「稽古中、上田さんの使う演劇用語が分からなくて“何言ってんだろう』”と思う時もありました」と笑いを誘った健太郎。多分、初めての舞台で大変だったろうな。
ところが、どっこい。
健太郎くんは初舞台ながら、惚れ惚れするような運動神経で、これがめきめきということか、と思うほど日々上手くなっていった。稽古の終盤、「もっと演技上手くなりてーなー」と言ったときには、あいつ抱きしめたいなあ、とヨーロッパ企画みんなで言ってました。
ヨーロッパ企画団員のつぶやき
劇団員達の感想だ。健太郎は、やはり、芝居に真摯。そして、そのままの気持ちをそのまま表現して、愛(ウ)いヤツなのじゃな。やはり。
一人、背が高く、スラッとしている伊藤健太郎。声も大きく、張りがある。
伊東健太郎、演技中のバスケ、かなり、上手し。レベ高千里状態であります。ステージ上の限られた狭い空間で、実際にバスケットボールのドリブルをしてみせる健太郎。ナイスドリブル。見事に決めていた。
初舞台を楽しんだ健太郎であった、のである。そういう感じでしたね。
春のめざめ
白井晃演出『春のめざめ』
俳優であり演出家である白井晃作品の舞台である『春のめざめ』が伊藤健太郎のその次の舞台であった。『巌流島』の前の舞台となる。
1891年にヴェデキントによって書かれた『春のめざめ』は、思春期の少年たちの性への目覚め、生きる事の葛藤、それに対する大人たちの抑圧などが描かれ、そのセンセーショナルな内容から当時上演禁止の処分を受けた問題作。白井晃の世界観で構成された舞台演劇です。
大人の言うことを片っ端から反抗していた思春期を回想していたという、伊藤健太郎。主役のメルヒオールと同じ匂いをそもそも思春期に持っていたわけだ。確かに、顔をみても、幼少の頃、とても、ヤンチャだった感じはするよね。
公開ゲネプロ
舞台の公開ゲネプロだ。
『春のめざめ』の伊東健太郎
舞台は2回目ですが、経験が浅いので声の出し方や体の使い方など一から白井さんに教えて頂きました。緊張はしますが、全力で教えを出し切れるように頑張りたいです。稽古が楽しく、早く稽古場に行きたいと毎日思っていたくらいで、稽古が終わって食事をしながらでも、キャストの皆さんとずっと「春のめざめ」の話ばかりしていました。
公開ゲネプロコメント
白井さんから頂いた「健太郎の中のメルヒオールを出して」という言葉が印象に残っています。稽古中は外枠だけでメルヒオールを演じてしまうこともあって、難しいなと思っていたところにこの言葉を頂いて、自分の素の部分も出していこうと思いました。メルヒオールの悩みや気持ちは若かったころの自分にも共感できるので、そうした気持ちを伝えられたらと思います。
構成・演出の白井晃に、「演技のセンスが素晴らしいと思いました」と言わせしめた伊東健太郎。
共演の岡本夏美に、「伊藤さんはすごく熱い方で、みんながついていきたくなるような座長です」と言わせしめた伊藤健太郎。やはり、持ってるな。かなりのリーダーシップと可愛さを。
さらに、共演の栗原類に「伊藤さんのことを信じています」と言わせしめた伊藤健太郎。芝居に対する熱い思いを感じるね。
「初めて出演した舞台がもし『春のめざめ』だったら、もう二度と舞台やりたくない、って思ってたかもしれない(笑)」とインタビューに答えたらしい伊藤健太郎。かなり、大変な芝居練習内容だったようだね。それでも、やり遂げた。
そんなこんなで、伊藤健太郎の舞台2つをざっとみてきました。役作りに貪欲な健太郎だけに、今後始まる佐々木小次郎をどんなものにしていくのか、大変興味がありますね。佐々木小次郎は伊藤健太郎しかいないと言わせしめて欲しいと思います。期待しているぞい。
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