不良中老年は楽しい

エッセイ
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嵐山光三郎と出会う

嵐山光三郎が死んだ。残念だ。死に際も綺麗だった。不良老年。献杯。

この作家には青森空港で見かけたことがある。まだ、TDA(東亜国内航空)の飛行機が飛んでいた頃で、確か夏だったはずだ。

その時、彼は、確か、パナマ帽に、パパスのアロハシャツに、綿の夏の白いコットンパンツで、口髭を蓄え、サングラスをかけ、歩いていた。

肩に、革のボストンバッグを持って。かなり、粋な格好だったのを覚えている。

どう見ても、タダモノではない。顔色も日焼けして、血色の良いこと。

こやつ、やるな、という感じだし、目立っていた。浮いていた。

こいつ、本当に、不良中年を遊んでいるなという感じだったな。

こやつの作品 老いてこそ

この男、老いてから、益々、元気。作品を精力的に発表し続けている。

中年どころか、老年になって、ここまで本を出すかと言うくらい、凄い。

精力絶倫である。老いてからの頑張りぶり、絶句。

この男、エッセイだけでも不良定年に移行し、今では追悼文エッセイまで書いている。

死に方も不良を極めるべしと言うことか?

嵐山光三郎の何たるか

話は戻るが、その時、「不良中年は楽しい」というエッセイは前から読んでいたので、すぐに彼だと分かった。そして、彼のエッセイの意味や事実が本人を見て、すぐに理解できたのだった。

エッセイには、嵐山のしてきたことが書かれている。雑誌編集長になり、テレビに出て、ギャンブルにのめり込み、株をやり、ビンボーになりコジキもやり、作家にもなった。


老いてますます明るい不良

不良の条件

この男の言う不良の条件が面白い。

1.不良オヤジはギャンブル魂を飼いならせること。

2.不良オヤジは、老いては色欲に従う。

3.不良オヤジは、放浪する。

4.不良オヤジは先人の不良オヤジに学ぶべし。


不良中年は色っぽい

ギャンブル

ギャンブルは人生の教科書と彼は言う。

そして、阿佐田哲也に学び、勝負の極意を知る。

50を過ぎたら、競馬より競輪。

故棋士芹沢博文を愛する。


爺の流儀 (ワニブックスPLUS新書)

不良オヤジの色欲の大先輩は、永井荷風であり、川端康成だ。

太宰治、坂口安吾、檀一夫等々、文人の不良は沢山いる。


自宅の妾宅 (講談社文庫)

近いところでは、深沢七郎だな。

このあたりのことは嵐山は自分の著書でも述べている。

芭蕉に学ぶ


芭蕉紀行(新潮文庫)

不良中年オヤジの放浪の理想的なオヤジが、松尾芭蕉だ。奥の細道だ。かなりのワルだった。

この芭蕉を真似たのが、与謝野蕪村と小林一茶。放浪し、句を詠む。

しかし、西行やゴーギャンこそが、放浪の天才かもしれない。


西行と清盛

彼らの本が中年のバイブルかもね。

放浪

嵐山光三郎は放浪長じて、旅行と温泉紀行のエッセイシストでもある。


かわいい自分には旅をさせろ

嵐山のような旅行をしてみたいものです。

それに、旅先で焚火も是非したいものだな。


嵐山光三郎ぶらり旅—ほろ酔い編

それって、自由と放浪の感じがしませんか?


嵐山光三郎ぶらり旅

死、そのものも不良中年オヤジである光三郎のテーマでもある。

そういう感じで、嵐山光三郎は中年オヤジ~老年オヤジ~死にいたるオヤジというキイワードを路線にモノを書いている。

面白い存在だ。

中年オヤジへの20の箴言

最後に、嵐山の中年オヤジへのための

20の箴言を書いておこう。

①なれぬことはするな

②威張らない

③自慢しない

④分析しない

⑤怒らない

⑥短髪にする

⑦上等の服を着ろ

⑧靴も上等

⑨時計は安物でいい

⑩金離れをよくする

⑪温泉

⑫女を理解するな

⑬泣くな

⑭やせがまん

⑮年増女がいい女である

⑯口説きは迅速に

⑰負けてこそギャンブル

⑱宗教を信じるな

⑲自分の力を信じる

⑳孤立を怖れるな

「不良中年」は楽しい:嵐山光三郎

さようなら、嵐山光三郎

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