興味深い女優として、今挙げるのなら、それは、芳根京子であろう。そして、多分、彼女は今以上に、彼女の出演する映画を確実に面白くしていってくれる女優になっていくであろう。特に、彼女は、何故か、サスペンス的でSF的で深みのある人間の愛憎と悲しみがそこに滲んでいるような映画で、異彩を発揮する。そのような系譜の流れにある一種独特な女優でもあるのだ。こんなに若くて綺麗な正統派女優なのに。不思議である。目立たないように存在しているのに、後から、その存在の大きさに気づくっていうのかな。
Arc アーク
そんな女優芳根京子の映画の最新作で多分かなり注目されるのが、これ。この6月に上映される『Arc アーク』である。芳根京子の若いのに持っているその神秘性を発揮できている作品となるであろうと思っている。
不老不死というのは、古来より注目の話題であり、多くの歴史的人物達がそれを得るために色々なことをしてきたというイワレがある神秘的なことでもある。だが、現在の科学の進歩はここに来てこの難題を解決することに近づいてきたのかもしれない。そして、そこには多分哀しい結末も見えてきそうな予感もしないではない。そのようなSFでもあり人間の欲望の向こうにあるものを教えてくれるのが、芳根京子なのである。彼女が演じるだけで、期待が持てる。
公式サイト
cinemacafe.net
彼女のこのようなサスペンス的SF的である意味サイコパス的なストーリーの映画出演作品には、次のようなものがある。どれもが、面白い。芳根京子はその映画出演の役どころが全て真面目な人として出てくるのであるが、話が最後に行くにつつ、彼女の存在の意味が判ってくるというものが多いのだ。そのアンビバレントな性格の変化を微妙に上手に演じることが出来るのだ。多分、これは持って生まれた能力なのであろうね。
累
土屋太鳳が主役であるが、芳根京子の存在があってそこにいるというのが後からしみじみと判る作品。まさに、累(かさね)であるのだ。
幼い頃より自分の醜い容姿に劣等感を抱いてきた女・累(かさね)。今は亡き伝説の女優・淵透世を母に持ち、母親ゆずりの天才的な演技力を持ちながらも、母とは似ても似つかない容姿に周囲からも孤立して生きてきた。そんな彼女に母が唯一遺した1本の口紅。それは、キスした相手の<顔>を奪い取ることができる不思議な力を秘めていたー。ある日、累の前に、母を知る一人の男・元舞台演出家の羽生田(はぶた)が現れる。累は羽生田の紹介で、圧倒的な“美”を持つ女・ニナと出会う。ニナはその美しい容姿に恵まれながらも、ある秘密を抱え、舞台女優として花開かずにいた。お互いの欲望が一致した二人は、口紅の力を使って顔を入れ替える決断をする。累の“演技力”とニナの“美しさ”。どちらも兼ね備えた“完璧な女優”丹沢ニナは、一躍脚光を浴び始め、二人の欲求は満たされていくが。
記憶屋 あなたを忘れない
重要なキイパースンであることを感じさせなかった芳根京子。上手いな。サスペンスには必要な要素。
人の記憶を消せる“記憶屋”っていう人がいるらしい―。
大学生の遼一(山田涼介)は、恋人・杏子(蓮佛美沙子)にプロポーズをOKしてもらい幸せの絶頂にいたが、その翌日から杏子と連絡が取れなくなってしまう。数日後、偶然に駅で杏子を見かけた遼一は声をかけるが、杏子は遼一のことを一切憶えていなかった。
実は遼一は過去に同じ経験をしたことがある。幼少期に幼馴染の真希(芳根京子)が同じように一部の記憶を失ったのである。遼一は都市伝説的な“記憶屋”のことを知り、真希と弁護士の高原(佐々木蔵之介)とともに、杏子が記憶を失った原因を探すことに。高原は記憶屋の存在に半信半疑ではあったが、一人娘のために記憶屋に会って、ある記憶を消したいと思っていた。高原に残された時間があとわずかだった。
記憶屋の正体に近づくにつれ、遼一は多くの人が記憶屋に人生を救われていることを知る。だとしたらなぜ杏子の中から遼一の記憶だけが消えたのか。
記憶をめぐる様々な愛を知り、彼らがたどり着いたその先には、運命を大きく変える真実があった―。
イノセント・デイズ
今は亡き竹内結子のドラマに刑務官として出演していた彼女。竹内結子の内に秘めた壮絶な精神の役柄を見守る役なのであるが、その真摯に静かに人を思いやる心の機微を上手に演技していた。
「被告人を死刑に処す」。
佐々木慎一(妻夫木聡)は、幼なじみの田中幸乃(竹内結子)が、元交際相手の住むアパートに火を放ち彼の妻子を焼死させたとして死刑判決を受ける姿を法廷で見つめていた。幼少期の幸乃を知り、そしてある負い目を持つ慎一は、彼女が真犯人ではないと直感。幸乃を救いたい一心で、味方を探して幸乃の姉や中学校時代の同級生など彼女の人生を知る様々な人々に会いに行くが、先々でその凄絶な過去を聞かされることになる。
そしてともに幸乃の幼なじみで弁護士の丹下翔(新井浩文)と再会するも次第に意見が合わなくなっていく。一方で近づいてくる死刑の時を淡々と待つ幸乃。刑務官の佐渡山瞳(芳根京子)は、その姿になぜか惹かれ始めていた。
彼女、芳根京子を映画やドラマで追いかけていくことは、自分にとって体得できる何か良きものがあるような気がしてならない。近頃出演の作品でも、彼女の持つ不思議な二面性に、新しい女優像を感じるのである。そのくらいに、面白い存在である。注目していきたい。
芳根京子ファースト写真集 ネコソガレ
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