竹野内豊。男の世界の美しい顔100人も選ばれた正統派二枚目である彼。
中年になり、今は脇役出演が多くなったが、そこでの演技にも良い味を出している。
映画における脇役編や多く出演していたテレビドラマについては後日記載することとして、今回はまず映画の竹野内豊主演作品編からみていこうと思っている。まずは、その1回目。時代の古い順から探ってみよう。
冷静と情熱のあいだ
映画と竹野内豊

映画主演として出たのは意外に遅く、この『冷静と情熱のあいだ』である。
愛し合いながらも別れることとなってしまった男女が、10年後、再び愛を実らせるまでのあらすじを描いた恋愛ストーリーもの。

竹野内豊は絵画の修復師。ロケ地がイタリアのフィレンツェやミラノであり、かなりの美しさがある映像です。美術がバックボーンにあり、ファンタスティックの一言。竹野内豊の俳優としての美しさが芸術の都の歴史的風景の中で際立ちます。絵になるぅ。さすが、竹野内豊であります。

この映画「冷静と情熱のあいだ」に竹野内豊は映画初主演し、なんと、第25回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞しています。
竹野内豊の演技も良いし若いし、本当に優しい目をしているなという感じです。
あらすじと本
イタリアで、美術絵画の修復師の修行中の順正は、この地でかつての恋人あおいに再会する。彼女とやり直したいと願う彼だが、あおいには裕福な恋人と打ち込める仕事があり、彼の入る余地はなかった。そんなときアトリエで事件が起こる…。
辻仁成と江國香織が、ひとつの恋愛を男女それぞれの視点でつづった原作を、TVドラマ界の人気監督・中江巧が演出。竹野内豊、ケリー・チャンという美男美女の主演、フィレンツェ、ミラノのロケなど、美にこだわったビジュアルが、悲恋を大いに盛りあげる。竹野内があおいとの過去、アトリエでの事件などに苦悩する主人公を表情豊かに演じている。また順正の恋人を演じた篠原涼子が、彼への熱い思いをほとばしらせる熱演を見せており、一見の価値ありだ。
この原作は、言わずと知れた、江國香織、辻仁成原作のベストセラー小説である。連作としての小説は、江國香織のRossoと辻仁成のBluの赤と青になっている。
あの空をおぼえている
竹野内豊は2作目にこれを選んだ
竹野内豊の映画2作目だが、意外と知られていない秀作。あえて、主演作2本目にこれを選んだ竹野内豊に喝采したい。偉い。

家族の地味で哀しい物語なのに、この人間の再生物語への出演を選んだのは素晴らしい。

あらすじと本
●竹野内 豊、待望の映画主演作!
「冷静と情熱のあいだ」以来、待望の映画主演となる竹野内 豊が、幸せすぎる日々から娘を失うという悲劇に直面する父親役に挑戦する。「こういう人間ドラマ、家族の物語があってもいいんじゃないか。こういう時代だからこそ、やりたい」と脚本を読んで出演を決意した。子供たちとはしゃぐシーンでは、これまでに見せたこともないような快活な表情になる一方で、喪失感に打ちのめされた父親の苦悩を胸に迫る演技で見せる。
●平井 堅が主題歌を提供。ラストの余韻をさらに深める――心に響くメロディ!
この映画のために書き下ろした『いつか離れる日が来ても』(作詞・作曲・歌:平井 堅/DefSTAR RECORDS)。「大切な人を想う強さと儚さ」をテーマに創られた詞とメロディが物語のエンディングを情感豊かに飾り、深い余韻を添えている。
●生きていく勇気と希望をさわやかな感動とともに伝える、心温まる傑作!
殺伐とした事件が続発する現代で、人が生きていくうえでの原点である家族と、人を思う気持ちを描きながら、愛と生、幸福、そして永遠の別れという、シンプルでありながら、最も深遠なテーマに迫る。
そして、映画の原作となるジャネット・リー・ケアリーの小説。
太平洋の奇跡ーフォックスと呼ばれた男ー
3作目に戦争映画
竹野内豊の3作目はなんと、戦争映画である。その主演だ。そして、これは、ヒューマンドラマでもある。
朴訥で実直な司令官大場大尉役を演じきった。部下たちを愛した男。部下たちを生かした男。
竹野内豊の映画選択の方向性に感激。これに出演するか。前回の家族再生ドラマといい、彼の役者魂!は凄いかもしんないね。

あらすじ
サイパン島では日本軍は約41000名、米軍は3126名が戦死するという壮絶な激戦が展開された。
7月6日、総攻撃の前夜に太平洋艦隊司令長官、南雲中将ら4名の指揮官が自決し、9日には米軍の占領下に入った。
その後、残存兵として、大場大尉以下47名の兵が徹底抗戦を続け、最終的に200人の民間人の命を救ったのである。
主役の竹野内豊演じる大場大尉が朴訥で実直な人物に描かれていて、とても好感が持てた。実に512日間にわたって米軍を苦しめ、最後まで諦めないその戦術は賞賛に値するものだ。
また、唐沢寿明が暴れん坊の兵隊役で、米軍から奪った自動小銃を撃ちまくる姿は、かつて勝新が演じた「兵隊やくざ」を思い出させ小気味よかった。阿部サダヲやベンガル、井上真央らの演技も印象に残った。
日本語が話せる米軍将校役のショーン・マクゴーウァンの落ち着きのある紳士的な態度は、日米双方を中立的な立場で描いたものとして素晴らしい内容だった。
実際には、もっと悲惨な出来事が起こっていたものと思われるが、それでも決して自ら降伏することなく、上官の命令に従うという形で、一人を除いた部下たち全員を投降させたというプライドを胸に、大場は兵隊たちとともに堂々と日本へ帰還したのだろう。安易に死を選ぶことなく生き抜いた熱き男たちの物語でした。
竹野内豊という男
俳優としての竹野内豊は最初の主演映画3本を観ても、彼自身の映画への思い入れがしっかりある。そして、その心を映像に確実に反映させている。意外と、凄い奴なのです。ただ顔が良いだけではないことが理解できた。
色々な種類の映画に出演したい気持ちが彼にはあるのだろう。
映画の中では、いつでも温かなまな差しが溢れている。どんな悲劇的な局面でも実直に前に向かっていこうとする姿勢が感じ取られる。多分、彼は、かなり純粋で誠実な人柄なのだろう。その澄み切った瞳には、優しさが溢れている。

男から見ても、悪い印象は全くない。あくどさや癖がないというような指摘もあるかもしれないが、なくても、この存在感は何なのだ。そこにこそ、彼の俳優としての存在に良き風を感じる。意外と、映画通が惚れる俳優なのである。だって、次回以降も彼のことを書くのが楽しみなのだから。
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