めぞん一刻での結婚について、考えてみよう。この漫画のストーリーの時代性もあるかもしれないが、結婚すること自体が愛の最終的幸せ系であることを意識して描かれているのは間違いない。
この漫画が心理学的にも凄いのは、今の現代に失われつつある始原的な人間関係であるという家族という人間関係の素地が十二分に表現されているところなのである。と私は勝手に考えている。今の小説やドラマや映画に多くなってきた無国籍・無人格な主人公達ではなく、男と女の愛のための原風景とも言える家族が根底にあるのである。結婚も、その家族が常に見え隠れしてくるように上手に配置されている考えられたストーリーなのである。
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五代裕作の優柔不断さというかはっきりしないところに、思い込みの激しい響子さんは三鷹との結婚もありと思ってもいない怒りをぶつけることもあったりした。
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結婚という方向に向かうにあたって、どの時代でも、年寄りの存在がとても大きいものであることを指摘もしてくれていた『めぞん一刻』。
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婆ちゃんの名言が続く。祖父母が素敵な家の子達は、とても幸せになることが多い気がする。結婚に際しても、家族を持ってからにしても。
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結婚とは、一つの区切りであり、家族と家族が繋がることの始まり。
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結婚するに際して、大事なことの一つは、皆に心から祝福されることである。その点、五代裕作という男の魅力はとても絶大なものがある。友人坂本が指摘するように、「はたで見てると危なっかしいけど、いいやつ」に尽きるかもしれない。とにかく、目線が公平・平等・上下関係なく困っている人を放置することが出来ない男なのである。
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機を見て敏ではないし、上手に渡り歩くということも不得手だけれど、人の心に優しく残る男なのである。そして、金とか地位とか名誉とかに無縁でも、響子さんを愛する気持ちは誰にも負けない。
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たった一人の人と一緒になることこそが結婚の理想であろうか。そして、その二人の向こうにある家族を愛することが結婚に向かう原風景であろうか。
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結婚して一緒になり生活をするということは・・・・初めて、響子さんを響子と呼んだ五代裕作。
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結婚後の響子さんと五代君と春香ちゃんの家族の行く末を高橋留美子先生が『新めぞん一刻』として描いてくれたら、どんなにか素晴らしいことかと思ってしまうのだが。結婚が最終エンディングではなく、その向こうにあるであろう長く続く家族の物語にしてくれたらと思ってしまうのである。
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今更言うまでもないことではあろうが、響子さんと五代君が結婚に至るまでに描かれる家族や友人達や近隣の人々との深まっていく繋がりこそが、この漫画に不可避的に愛着を感じてしまう一番大きな要素なのである。
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