久しぶりに、面白い「ノワール映画」を日本で見つけた気がする。岩田剛典と新田真剣佑がW主演する邦画の『名も無き世界のエンドロール』だ。イケメン二人が出ているのでそれだけで観るのも良しなのだが、映画のストーリーが面白いのと二人のノワール系的存在がとても良かったので、マジでお薦め映画作品ですね。間違いなく。
邦画におけるノワール映画だろ
DVD 『名も無き世界のエンドロール』
ノワールって何だろうということにもなるけど、フランス語のnoirでblancの対義語である。黒ということ。白の反対。だから、フランス映画のノワール映画っていうと、暗黒映画ということで裏社会系映画・犯罪映画のことでもあるし、その映画に流れるのは暗い切ない世界なのである。だから、この映画も、プロポーズ大作戦とかドッキリとか出てきて軽いような部分を見せるも全編とても切なく哀しい底流があるのだ。だが、実は、そこが良いのだ。この手の映画に岩田剛典と新田真剣佑のイケメン二人が出ていることに、とても感銘を受けたのである。
名も無き世界のエンドロール
複雑な家庭環境で育ち、さみしさを抱えて生きてきたキダとマコトは幼馴染み。そこに同じ境遇の転校生・ヨッチも加わり、3人は支え合いながら家族よりも大切な仲間となった。しかし20歳の時、ヨッチは2人のもとから突然いなくなってしまう。そんな彼らのもとに、政治家令嬢で、トップモデルのリサが現れる。リサに異常な興味を持ったマコトは、食事に誘うが、全く相手にされない。マコトは仕事を辞めて忽然と姿を消してしまう。2年後。マコトを捜すために裏社会にまで潜り込んだキダは、ようやく再会を果たす。マコトは、リサにふさわしい男になるために、死に物狂いで金を稼いでいた。マコトの執念とその理由を知ったキダは、親友のため命をかけて協力することを誓う。そして、迎えたクリスマス・イブの夜。マコトはキダの力を借りてプロポーズを決行しようとする。しかし実はそれは、日本中を巻き込む“ある壮大な計画”だった–。
内容紹介
映画予告編
岩田剛典の渋さ
岩ちゃんこと、岩田剛典がとても渋かったように思う。岩ちゃんがそもそもカッコ良過ぎるから、こういう役は向いていないという人がいるかもしれないが、彼の俳優としての良さは、実は、この手のノワール系の不良青年が向いていると自分ではもっぱら思っている。そういう意味では、この裏社会での交渉屋という役柄はとても味のある岩ちゃんの深みを出せたような気がするのである。とても真面目な不良性(?)というキャラクターは実は彼しか出来ないのではないかとすら思っているのである。マジで。
次のYoutubeには、この映画での岩ちゃんのハードボイルドなところが出ているね。彼には、このような役、嘘がなくとても真面目なのに全く正反対の裏社会を知っている悪の部分もあるようなキャラに、何故か深みを感じてしまうのである。どうしてだろう。
そう言えば、あの映画の『去年の冬、きみと別れ』でも、そういうキャラクターでの主人公役を好演していたような気がする。
新田真剣佑 の想いと復讐
1日あれば、世界は変わるのか?大事な人を忘れさせないために何をするのか?人の道を外したような行動をした人にどうリベンジしていくのか。イケメン新田真剣佑が10年にも亘るドッキリプロポーズ作戦を実行していく世界が映画の中で上手に描かれている。テンポよく過去と現在が交錯されながら描かれて。この映画の面白さは、最後になるまで、色々な切り抜きがパズルのようにバラバラと巻かれいるところにある。役者としての新田真剣佑の新しい側面に光を当てることが出来たのではないだろうか?
そういう観点からすると、中村アンの存在はナカナカのものであった。正義の対極にある悪的な存在としての彼女の演技は意味が相当あったね。
新田真剣佑のセリフも考えさせられるものであった。
岩田剛典が言う。「住む世界が違うだけだよ」
新田真剣佑が応える。「違うよ。分けられているだけだよ」
小説:マチルダ(改題)名も無き世界のエンドロール
原作は、行成薫の『マチルダ(改題)=名も無き世界のエンドロール』だ。2011年の 小説すばる新人賞受賞作 である。そもそも、最初の題名のマチルダが良いな。思い出すのは、映画「レオン」のナタリー・ポートマンだ。映画の重要な役割のヨッチ(=山田杏奈)を彷彿させているのかいないのか判らないが。彼女を入れた3人の強い絆がこの映画と小説の肝になる。
名も無き世界のエンドロール (集英社文庫)
ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した―。一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。
ヨッチの言った言葉も結構心に刺さったね。
恐いものって何だと思う?それは忘れられること。自分の存在が消されることだよ。イジメを経験しての言葉なのだ。
そして、この言葉はキダとマコトの心に強く残り、ヨッチを忘れさられないために、ある壮大なドッキリを仕掛けることになるのだ。
また、彼女の存在は、映画を観終わると、とても大きかったことに気がつく。そして、彼女はいつも横断歩道で赤信号の時は渡らないのである。そして、彼女は言うのである。「映画は好きだけど観ない。だって、最後には、エンドロールが流れるから」そして、「1日あれば世界は変えられる」なのだ。
遠い昔の青春の日々に純粋でそして無垢の正義感があったからこそ、友として絆を結んだ3人。そこに理不尽な外からの突然な一方的な存在の否定があった時に人はどう感じて動いていくのかということを極端ではあるが教えてくれた映画と小説であった。そのマインドを感じられるだけでも、この二人のイケメンのこの映画はとても意味のあるものだと思ってしまう。人は尊大になれる。人は簡単に人を上から見下すこともできる。反対に、人を信じることもできる。人を大事にすることもできる。そういう単純だけど重要な真実を改めて感じることがあった映画であった。やはり、この映画は、お薦めですね。
Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~
そんなこんなで、このノワール映画の沼にハマった人で岩ちゃん好きに絶対に見落とせないのが、次の半年後を描いた作品だ。『Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~ 』も渋いぞ。
Re:名も無き世界のエンドロール ~Half a year later~ [DVD]
日本中を巻き込むある計画を実行したあのクリスマス・イブから半年後、キダのもとに依頼が舞い込む。ある男を組織から助け出してほしいというものだった。一度は断ろうとするが、依頼主が男の幼なじみと知り引き受ける。依頼に向かう途中に出会った謎の女性ミチルは「1日あれば世界は変わる。」と、ヨッチが大事にしていたあの言葉を投げかける…。映画『名も無き世界のエンドロール』衝撃のラストから半年後の世界をドラマ化。
内容紹介
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