電話をしているふり:バイク川崎バイク

ショートショート

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お笑い芸人のBKB(バイク川崎バイク)のショートショート小説集である❝電話をしているふり❞はナカナカ良いのである。この人、とても、センスが良い。ショートショートの世界は簡単そうで簡単に描けないのであるが、星新一並みに面白く出来上がっている。決して、SFの話ばかりではなく、日常の生活が上手に書かれている。


BKBショートショート小説集 電話をしてるふり (ヨシモトブックス)

作品投稿サイト「note」で大反響を呼んだ、“すぐ読めて、もう一度読み返したくなる”BKBのショートショート(超短編小説)が待望の書籍化! SNS上でも話題沸騰の表題作ほか、note投稿作品を厳選し、さらに書き下ろし5作を加えた全50作品を収録。著者によるセルフレビュー付き!
恋愛、ミステリー、SF……思わず涙しちゃう感動作からクスッと笑えるブラックコメディまで、多彩なジャンルで魅せる大どんでん返しの連続が、読者の予想を裏切り続ける!

その中でも、やはり、秀逸なのは、小説集の題名になっている『電話をしているふり』だろう。全文載せることは問題もあろうから、一部抜粋して記載しておこう。

電話をかけているふり:一部

私はよくナンパされる。特に男受けを狙った格好はしてないつもり。でもそりゃあ、可愛い服は着たいし、メイクも好きだし、見た目には気を使っているつもり。

夜一人で歩いていると、繁華街、駅前、最寄り駅から家までの徒歩15分の薄暗い道、所構わず、声はよくかけられる。見た目にスキがあるのか、それともほんとに可愛いのか?

「あれ?おねーさんかわいいね!何してんの?待ち合わせ?おーい」

帰るんだよ。ついてくんな。ったく。

そんな時、決まって私は電話をする。というか、電話をする“ふり”をする。・・・・電話をしたふりして相手にガン無視決め込んでたら、たいていの男は舌打ちしながらも、すごすごと引っ込んでくれる。

「パパ?あ、ごめんごめん。今日さ、なんか買ってくものあったっけ?」

彼氏のいない私が“彼氏に電話をするふり”はどうにも抵抗があってむず痒くなるもんで、いつもパパを使わせてもらっている。男は、パパとかには、あまり関わりたくない生きものでしょ?

しかし、今日のナンパはしつこい。まだ隣で歩いているじゃん。電話してるじゃん。こっち。空気読めよ。おいおい、どこまでついてくるつもりだよ?・・・・・・・・「やっぱりね。思った通りだったよ。ふふふ。俺そんなにあやしいやつじゃないよ。とりあえず電話のふりやめな?」・・・・「だって、ほんとに電話してるならさ~」そう言って男は私のスマホを取り上げ、「もしもーし」と軽快に話し始めやがった。

もう最悪。バレた。

「もしもーし。パパさんですかーー?・・・・はい?え。あ、はい。そうすっね。いや、それはごめんなさい。はい。すみません。そうなんですか。はいわかりました。いや大丈夫っす。はい」

え?どういうこと。何してんの。アンタ誰と話してるの。電話したふりをしている女の電話を奪って、電話をしたふりをさらに続けるというノリノリなやつ?意味わかんないですけど。・・・・・男は、厳しい先生に叱られた生徒のごとく、とにかく陳謝している。・・・・・「誰と?誰と話してたの?」「いやいや、パパさんだろ?すげえ怒られたわ。『娘に何かあったら、たたじゃおかんぞ』って。・・・あと、警官?・・・・」

だって、電話してなかったんだから。だって、電話をしたふりだったんだから。だって、パパはこの世にいないんだから。

出典:電話をしているふりから抜粋

さて、これから、どういう展開になっていくのであろうか?上手いねぇ。こういうように平易そうに見えて読みやすい文章を書けるっていうのは才能だね。そして、この作品もそうだけれど、全てにオチがある。温かいような。

コロナの2020年に作られた小説集。バイク川崎バイクは言う。

2020年、世の中はまだ大変な時期でありますが、最後に、読んでくれた皆さんが

B病気もKケガもせず無事笑って過ごせますよう!

また、お笑い界から、優秀な私達を勇気づけてくれるインフルエンサーが出現したね。こういう時期だからこそ、アリガタヤですね。

ということで、バイク川崎バイクのショートショートは読む価値ありでした。又吉直樹も絶賛しておりましたね。

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