今回は、竹野内豊の主演映画の第3弾です。主演映画編はこれで最後になります。
最後の主演映画は2本です。今回も、竹野内豊の映画選択に、それなりの彼の哲学があったような気がします。そういう深みのある映画でしょうか。
at Home アットホーム
サスペンス系ヒューマンタッチ映画と竹野内豊
家族を盗むという小説原作の設定。竹野内豊が言うのだ。「俺が盗んできた家族は、誰にも奪わせない」という、なんとも意味深なコピーが映画の広告には、添えられている。
はたして、“家族を盗む”とは? いびつな関係を結ぶ彼らは、“家族”の幸せを守ることができるのか?
そうなのだよ。これが、人気作家本多孝好の原作を基に、偽装家族をテーマに出来上がった映画『at Home アットホーム』なのだ。
社会からはじかれ一緒に暮らす道を選んだ5人は、血の繋がりのない「家族」。どこにでもある普通に幸せそうな家族が、実は決して振り返りたくはない過去を持つという“ワケあり”の偽装家族なのである。
父は泥棒・和彦(竹野内)、母・皐月(松雪)は結婚詐欺師、長男・淳(坂口健太郎)は偽造職人で、長女・飛鳥(黒島結菜)とまだ幼い次男・隆史(池田優斗)も“犯罪”で生計を立てていることを知っている――何故彼らがそんな歪な関係を選んだのか、解き明かされていく。
家族となったそれぞれが背負っていたものが明かされていく中盤あたりから、ゾクゾクするような展開。結構、心の奥底が揺り動かされる。
こんな5人が奇妙な犯罪生活を行いながらも肩寄せ合い暮らしていたある日、母親が仕事に失敗し誘拐されたことから、家族の絆が試される事件に直面する。
ある夜、家族の元に一本の電話が…。お母さんがターゲットにした相手がどうやら結婚詐欺師で一枚上手だった事から事態は急変。1000万円という身代金を要求してきた相手の男とどう立ち向かうのか。
能天気にみえた家族、その裏にあるそれぞれの苦しい過去。血もつながっていない、けれどこの幸せを守るためなら、誰よりも必死になれる。これも一つの家族の姿。母親を取り戻すことはできるのか!?
坂口健太郎も未来の竹野内豊になれる良き演技をしておったぞい。
クライマックスで大きな決断を下す一家の父親を演じ切った、竹野内豊。
そしてラストのムショから出所してきた竹野内豊の表情。泣けるぅぅ。
やるじゃないか、竹野内豊。
今回、竹野内豊は偽装の父親役。犯罪者なのに、極めて、ヒューマン。やはり、彼は、こういう映画を選ぶんだな。本当に、竹野内豊という俳優は面白い。挑戦するフィールドが毎回に違う。深みがでるっしょ。彼は。
あらすじと本
この映画の原作は、「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞し、単行本「MISSING」で一躍脚光を浴びた本多孝好の小説。
ちなみに、本多孝好の略歴は。
1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。94年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。99年同作を収録した『MISSING』で単行本デビュー。「このミステリーがすごい!2000年版」でトップ10入りするなど高い評価を得て一躍脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説などジャンルを超えた新しいエンターテインメント作品を発表、常に読者の圧倒的な支持を得ている。
人生の約束
仕事一筋に生きてきた竹野内豊が親友の死を機に、親友の故郷・富山の曳山祭の危機を救おうと立ち上がる中で、失ってきた大切なものを取り戻そうとするストーリー。心の拠り所は祭りじゃ。
竹野内豊は今回はIT企業の社長
人と人がつながることが、当たり前ではなくなってしまった今の時代に、「絆」と「再生」の物語。
かつての親友と共に起業し、IT関連企業CEOを務め、根っからの仕事人間で会社の拡大にしか興味がない主人公・中原祐馬を演じる竹野内豊。
航平の死を知った竹野内豊。会社を追われた親友航平は、故郷に帰って、死んだ。竹野内豊が親友の故郷富山に行き巡り合ったのは、航平の義兄渡辺哲也(江口洋介)の怒りに満ちた目と、娘の瞳(高橋ひかる)のどこか悲しげだけど平静を装う態度だった。
刑事・岩瀬(ビートたけし)。不正取引の疑惑で強制捜査を受ける竹野内豊に、曳山に出る猶予を与える。
IT関連企業のCEO・中原祐馬(竹野内豊)は会社の規模を拡大することしか頭になく、目的のためには使えない社員や取引先は容赦なく切り捨ててきた。いつしか中原の周りにはイエスマンしかいなくなり、中原に唯一真っ向から意見できるのは若い沢井卓也(松坂桃李)のみという状況になっていた。
かつての親友は、最後にもう一度「曳山につながる」事を願って死んでいった。竹野内豊は、会社から何から全てを失ったとき、亡き友への想い、曳山祭りに高揚する人々の情熱、純粋無垢な一人の少女の想いに触れ、抱え込んだ葛藤と後悔を浄化していく。再生していくのだった。
瞳から「曳山を町へ取り戻してほしい。」と言われた竹野内豊は、その頼みをかなえようとするのだった。
脇役がやはり豪華過ぎ。
あらすじ
竹野内豊の今回
俳優としての竹野内豊は今回の主演映画2本はやはりヒューマンドラマ系という範疇で良いかな。今回の2つの映画に共通するテーマは、『繋がりと絆』だね。多分。それは、人・家族・親友との絆だね。そこにフォーカスを当てた2作品と言って良いでしょう。
『アットホーム』では、血のつながりのない人達の家族としての繋がりと絆。それを大きな気持ちで優しく支える主人公竹野内豊。
『人生の約束』では、竹野内豊が親友の死から、祭りの曳山に繋がろうと懸命になる。そこで、曳山は町の人々にとっては単なる祭りのひとつのアイテムではなくて、先祖や知り合い、そして自分自身の過去といった大切なものと時間や距離を超えてつながるものであった。そうなのだ。親友との絆と繋がりだけではなく、大きな過去と未来のための人々にとっての繋がりと絆だったのだ。
竹野内豊の『人生の約束』映画上映封切後のインタビューでも彼は言っている。
親友を失い、友が眠る富山の新湊に行ってから心を揺るがせ、人間性を取り戻していくという繊細な芝居を要求される役だったと。そして、自分はやっぱり新しいものをやってみたいという気持ちは常にあって。今まで自分がやってきたことのない役柄に挑戦してみたいなと。
そういうところを演じ切った竹野内豊。『アットホーム』では泥棒役。『人生の約束』では嫌な男役。そこから善の人間性を取り戻し再生していく難しい役に挑戦している。
人と真直ぐ向き合い、人を思いやること。忘れていた人生の大切なもの。友や家族が愛したこの場所で。今、果たそう。人生の約束。
そんなこんなで、人と人のつながりってこんなに温かいんだなぁと感じさせてくれた竹野内豊よ、今回も、有難うでありました。感謝。
最後に彼のインタビュー記事を載せておきます。
大切な“心”というものを忘れてしまうと道を踏み外すというか、向かっていくベクトルも違った方向になってしまうな、という感じがしたんですね。仕事をしていく上で、気持ち、そして心をちゃんとしっかり持つ。それは当然のことでもあるんですけど、たまに頭ではわかってはいてもビジネスが優先になってしまったりすることもありますよね。でもそういった仕事でもきちんと気持ちを持って挑んでいこうと。そういう気持ちというのは、忘れないようにしていきたいと思います。
the fashion post
うーん、誠実なヤツだぜ。相変わらず。
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