俺が注目していたように、映画『ドライブ・マイ・カー』が、ゴールデングローブ賞の非外国部門賞を取った。
ゴールデングローブ賞(非英語映画賞)受賞の快挙
結構、良い映画ということで、随分と前から、俺は、ブログも書いてきたのであったね。
『ドライブ・マイ・カー』 と俺のブログ達
俺も、結構、ブログで、この『 ドライブ・マイ・カー 』を推していたね。映画も村上春樹の原作短編も。
ドライブ・マイ・カー公式サイト
西島秀俊の孤独
この映画の一番のポイントは、西島秀俊の孤独にあると言って良いだろう。妻を喪った男の孤独感・喪失感をあらゆるシーンで演じている。
その深く堕ちていく目の向こうの空虚さの有り様が本当に素晴らしいと思う。西島秀俊のこの静謐で静かな佇まいが、『ドライビング・マイ・カー』原作の村上春樹の描きたかった主人公家福の喪失感を際立たさせている。
もしも、今年、アカデミー賞の俳優部門に西島秀俊が選出されたとしたら、それは、彼の心の中のソコナワレタところをその静かな佇まいで演じることが出来た唯一無二の俳優であったというところに尽きるだろうな。
多分、村上春樹の小説の特徴である損なわれた主人公を確実に演じることの出来る最初で最後の俳優であったというところだろうな。
そのあとの沈黙は前の時より長く続いた。
「君には友だちはいる?」と禍福は尋ねた。
みさきは首を振った。「友だちはいません」
「どうして?」
彼女はそれには答えなかった。目を細め、ただじっと前方を見ていた。
出典:【女のいない男たち】村上春樹:P.38~P.39
ドライバーである「みさき」役の三浦透子もその孤独さやハードボイルドさが、村上春樹の表現ではブスい存在で寡黙であるが運転は上手いというコンテクストの中で、クロスオーバーして活きていた。
「本当に他人を見たいと思うなら、自分自身を深くまっすぐ見つめるしかない」と村上春樹は、家福に言わせた。
喪失と孤独をあくまでも静かに表現出来た俳優、西島秀俊。
ドライブ・マイ・カー インターナショナル版(ミニポスター2枚セット付) [Blu-ray]
■第74回カンヌ国際映画祭 脚本賞受賞! 同映画祭、国際映画批評家連盟賞 AFCAE賞 エキュメニカル審査員賞 審査員賞 受賞!
脚本賞は、日本人・日本映画での受賞はカンヌ国際映画祭史上初。濱口竜介監督と、共同脚本の大江崇允さん二人へ贈られた。
また、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞と、審査員賞の受賞はカンヌ史上初。映画祭の歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。
■原作:村上春樹×主演:西島秀俊×監督:濱口竜介
原作は、村上春樹による珠玉の同名短編小説。この作品に惚れ込み映画化を熱望し、自ら脚本も手掛けるのは、いま世界が最も熱い注目を寄せる気鋭・濱口竜介監督。
これまで、カンヌ映画祭コンペティション部門に選出『寝ても覚めても』、ベルリン映画祭で銀熊賞受賞を果たした短編集『偶然と想像』、脚本を手掛けた『スパイの妻』がヴェネチア映画祭銀獅子賞に輝くなど、国際的な舞台でその名を轟かせてきた。
主人公の家福を演じるのは日本映画界に欠かせない名優、西島秀俊。ドライバーのみさきを三浦透子が演じるほか、岡田将生、霧島れいか、と実力派俳優陣が集結した。
■映画オリジナルの要素を加えながらも、原作の精神を受け継いだ驚異的な脚本と胸に迫る演技が導く、想像を超える圧巻のラスト。亡き妻の秘密を辿る果てに浮かび上がるものとは――。
【あらすじ】
舞台俳優であり演出家の家福(かふく)は、愛する妻の音(おと)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。
2年後、広島での演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去を抱える寡黙な専属ドライバーのみさきと出会う。
悲しみと“打ち明けられることのなかった秘密”に苛まれてきた家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。
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