もたない男のもったいない漫画

ミニマリスト

ミニマリストを軽く超えた男:中崎タツヤ

かつて、私の別のブログ『幸せ修行道』でも紹介したのは、漫画家中崎タツヤの究極の不条理的(?)とも言えるミニマリストの先駆けであったことである。その存在は、今でも、気になってしょうがないのである。

もたない男:中崎タツヤ
かなり前から、断捨離を完全にしていた漫画家がいた。中崎タツヤ。彼のエッセイである『もたない男』は究極のミニマリストであり、勉強になりますぜ。彼の作品『じみへん』も面白い。第20回手塚治虫文化賞短編部門受賞。

ここまで、身の回りのものを捨ててしまえる男はいないだろう。ものを捨てる捨てないの基準は、基本的に必要であるかないかの選択という過ぎないという。1年に数回しか使わないものは捨ててしまう。これは、断捨離というレベルの世界でない感じだ。本当に、自分の身の回りのものや漫画を描く仕事に必要と思えるものや成果物さえも、いとも簡単に捨ててしまえるのである。

漫画家中崎タツヤ、畏るべし。

彼は、著書の中で、こんなことを言っている。

ものを捨てることは、私にとって主義でも美学でもありません。 捨てることが主義:王張や美学だったら、自分の「したぞ」「やったよ」という達 成感、カタルシスみたいなものがあるのかもしれないけれども、私がものを捨てるこ ととそういう感覚とは全然関係がありません。 無駄が嫌いなんです。スッキリしたいだけなんだと思うんです。 使い切らなくても、全然ものを捨てられます。 私の判断基準はいるかいらないかだけです。 あくまでも、その前にある「鬱陶しい」「煩わしい」という気持ちをなくしたいだ けで、すごく単純な動機なんです。 ここまで、なぜものを捨てるのか、それなりの理由を書いてきましたが、本当のところは、 なぜそれが面倒なのか、なぜそれが無駄なのかという疑問があり、そういう 問題を考えていくと、自分でもわけがわからなくなります。
もちろん、精神的な深いところでは、何かあるのかもしれませんが、私がものを捨てることは「鬱陶しい」「煩わしい」というものすごく単純な動機しかなく、その理由なんて自分でもよくわからないんです。
例えば、私はマザー・テレサに憧れているんですが、彼女に憧れているのは極限までものをもたない生活スタイルで、信仰や思想、哲学にはあまり興味がありません。マザー・テレサが極限までものをもたない生活をしていたのは、彼女が煩悩や物欲 から「解脱」をしていたということかもしれませんから、なぜ、どのように、どうして「解脱」ができたのかには興味があるんですが、信仰していたカソリックの教えについてはまったく関心がありません。
私の場合、ものがほしくて手に入れるのと同じように、ものをもつことでストレス を感じるから捨てたくなって、自分の気持ちに素直に従って捨てているのですから、 深いところの理由を知りたくないわけではありません。何でもかんでも捨ててしまう私を病気みたいに思っている人もいるようですが、病気にみられようがどうだろうが、自分自身としてはどうでもいい。好きなことをしているだけですから。

出典:新潮文庫「もたない男」P.68-P.70

彼のミニマリスト本『もたない男』

なんか、流行りみたいに、ミニマリストのTwitterとかブログとかYoutubeが今人気だけど、本当の最初のミニマリストって、この漫画家の中崎タツヤって感じがするね。

その極め方が極端で、そして、とても、彼の漫画同様に、不条理なところもある。

漫画家にとって大事な原稿もパソコンも捨ててしまうし、想い出の写真や母親からの手紙も捨ててしまう。究極の断捨離男であります。

それでも、この本を読むことで、かなり、身の回りの整理というかもたない世界の意味がかなりわかるような気もするね。加えて、彼の漫画も併せて読んだら、断捨離世界の面白さと不条理さも知ることができるかもしれないね。結構、話や漫画を読んでいると、不思議と笑みがこぼれるんだよ。

そして、このエッセイ的な本の一番良いところは、啓発本で全くなくて、ただ、捨てたいし極限までものをもたない生活をしたいということを淡々と言っているだけなのねって、ところだね。ただ、ただ、捨てたい気持ちをそのまま実践しているというだけで。とても、潔いのですね。

私の漫画は不条理とかシュールとかいわれていたこともありますが、自分ではそんなつもりはなく、理屈っぽいとさえ思っています。自分では、記憶を理屈で説明しているようなところがありますから。 捨てたものが、何らかのかたちで記憶に残っていることもあります。存在は捨てていても、記憶には残っていることがあるんです。ものを捨てていくことで、本当に大切なものがわかっていくなんていう考え方があ るようですが、私にはそんな特別な気持ちはありません。 捨てても記憶に残っているものは自分のなかで何か引っかかりがあったんだろうと思いますが、私にとっては単なるものでしかありません。本の場合ちよっと違うのですが、捨ててもまったく惜しくはありません。本というも のは捨てても、読んだ記憶が頭のどこかしらに残っているはずです。読み終われば、私にとってものとしての価値がなくなります。細かい内容を忘れ、再び読みたくなったらもう一度、手に入れて読み直せばいい。一度読んだ本を買い直したり、図書館で借り直したりすることはしょっちゅうですが、手もとに置いておこうとは思いません。
出典:新潮文庫「もたない男」P.141-P.142

もたない男 (新潮文庫)

命と金と妻以外、なんでも捨てる! 人気漫画『じみへん』作者は究極の断捨離オトコだった――。空き部屋のような仕事場、妻を説き伏せ捨てたソファ、燃やしたらスッキリした大量の漫画原稿。憧れは、マザー・テレサのようにシンプルな生き方。けれど物欲も人一倍強く、好みの茶碗を求めて地方まで出かけたり……。極端すぎる捨て方に笑いが止まらない、異才の漫画家が放つエッセイ集。

内容紹介

もたない男中崎タツヤのもったいない漫画

そんな究極のミニマリストである中崎タツヤの漫画が、とても、面白い。それは昭和風であるが、今の時代にもマッチする話なのでもある。くだらない不条理っていうのは、時代を超えるんだろうね。多分。

なので、中崎タツヤの漫画はもたないことにすると、とても、もったいないことを、矛盾なのでしょうが、感じる次第なのであります。

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内容紹介

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オヤジの不条理ほど、読んでいて見ていて、楽しいものはないな。

文春漫画賞受賞作家と癒し系ルポライターのコラボレーション 一流女優も天才カメラマンも大絶賛! 魅惑のオヤジ劇場!! 哀しくも愛おしいオヤジたちの世界。癒される~

内容紹介

サラリーマンシリーズは面白い

文句なく、中崎タツヤのサラリーマンシリーズものは、笑えるし、笑える。一度、読まれてみたし。


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身から出た鯖(4) Kindle版:¥550

中崎タツヤの自伝的不条理漫画で、そこはかとなく、面白いのである。

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