『めぞん一刻』の面白さに脇役の素晴らしさがある。めぞん一刻荘の住人達や八神いぶきやこずえちゃんや随所に出てくる人々のある意味でややこし過ぎる存在が、ストーリーを楽しく微笑ましいものにさせてくれる。五代君が、色々な個性の人と交流していく中で、彼ら脇役陣は、何とはなく、人生の意味を教えてくれている存在達なのである。
今回は、その脇役オジサンの中でも、意外な、次の人達をクローズアップしてみたよ。兎に角、高橋留美子先生は、父親であり夫であり上司である、色々なオジサン達への観察力が鋭い。そして、そこには、とても深い愛情を感じるのだね
めぞん一刻のオジサン達の活躍
そうなのである。この多彩を究める脇役達の中で、意外とクローズアップされていないのが、オジサン達なのである、実は。彼等の存在はこの漫画の隠れたスパイスでもあるのだが、誰もそこに余り注目はしない。若い人達にとっては、どの時代でも、うざったい実体であるのがオジサンなのであろうが、めぞん一刻でも全くそうなのであるが、実は、このオジサン達の意外なほどの活躍ぶりが、話を面白くさせてくれているのであったのだ。そして、彼らの発言の幾つかに、若い人に対するチョットした人生の指針が見えたりするのだから、そこも意味があったりするのではなかろうか?
今回は、このどうしようもないオジサン達の辺りに焦点を当ててみよう。ちなみに、オジサン達の中では、一番存在感の高いのは、何と言っても、四谷さんであることは間違いないが、このオジサンに関しては、めぞん一刻荘の住人であり重要な脇役オジサンであるので、今回は触れない。彼に関しては、別途単独記事として、その突飛なる個性について、いつか、語ることとしよう。そこで、今回のオジサン達はこんな人達になる。
響子さんのお父さん
響子さんのお父さんの存在を忘れてはいけない。全く、響子さんに似ていない顔でオジサンだけど、興味深い存在だ。響子さんの父親だから、響子さんにその性格は似ている。頑固だ。そして、響子さんに対する父親としての思いは、世のオヤジ達と同じく、熱い。
典型的な昭和オヤジだけれど、憎めない。五代君とも、何故か良く酒を飲むことがあるが、酔っぱらうほどに、どこか、カワイイ。感情的になっても、何故か、憎めない。『めぞん一刻』 における父親像の一つだな。八神いぶきの父親も、同一延長線上にあるな。
まあ、娘に対する父親のオヤジ像って言うのは、今も昔も、こういうことなんだろうね。父親の純情さを体現してくれている。オジサンの魅力の一つだ。表現力は下手でも、その想いの一途さが、愛情の裏返しなのだ。
『めぞん一刻』の魅力は、この父親やオジサン達の無粋な愛情とか優しさを、上手に描いているところにあるのだ。人を幸せにするために、どう行動しているのか。オジサン達の魅力は尽きない。
キャバレーの店長
五代君が就職できずに、バイトで入ったところのオジサンこそが、このキャバレーの店長なのである。高橋留美子先生は、どうして、このような人物を描けたのであろうか?素晴らし過ぎる。このキャバレーの店長のキャラが、立ちすぎている。ナイスっす!!この人物像をどうやって、彼女は取材したのであろうか?凄すぎるのである。
SNACK茶々丸のマスター
実に、実に、影が薄いのだけれども、めぞん一刻の住人たちの宴会場所のSNACK茶々丸のマスターも存在を忘れてはいけないね。なんてたって、最後は、朱美さんと一緒になるのだからね。
一の瀬さんのご主人
めったに見かけることのない一の瀬さんのご主人も、いい味を出していたねぇ。一の瀬さん曰く、ご主人のみじめさが五代君と似ているとも。しかし、夫婦は寄り添い続けると、信じられない位に、お似合いになってくるし、実際に幸せになってくるのだろうな。この二人の背中に、五代君と響子さんの幸せの方向性が実はあったのだね。高橋留美子先生は、夫婦のあるべき姿をこの時計坂の坂道に描いていたんだね。
オジサンっていうのは、失業していても、奥さんが一の瀬さんのように明るく陽気に接してくれているだけで、元気になれるんだよね。
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