めぞん一刻を語る㉗:義父の心に残る言の葉

めぞん一刻

『めぞん一刻』のストーリーの底流に常に流れているのは、人の心の優しさ・温かさである。そして、それは、主人公達である響子さんや五代君だけでなく、取り巻く人々全ての色々な個性の向こう側に見えてくる。

響子さんの義父である亡くなった惣一郎さんのお父さんも、その一人である。

『めぞん一刻』はコメディ漫画であるが、結構、さりげなく、深いことを教えてくれる。「死と生」や「生きていく幸せ」の意味についても。惣一郎さんの義父と響子さんの関係性の中にも、教えられることは多い。

人は死んでも、その人を想い出す限り、その人は死んでいないということも出来る。忘れられていったら、その時が、その人と関係してきた人たちにとって、その人は本当に死んでしまうのかもしれない。

死した人の想い出すことも、時が経てば、少しずつ薄れていく。そうやって、残された人は、なんとか、前を向いていけるようになる。そういうように、人間の機能は出来上がっているとも言える。

忘れるってことの意味もあるのかもしれない。

響子さんにとって、忘れられない惣一郎さん。音無家の姓を通す響子さん。

惣一郎を忘れるようにしていきなさいと諭す義父さん。これからの人生を歩むうえで。死んだ人の近くで生きるのではなく、もっと幸せになれることがあると暗に示唆する義父さん。

それは、「惣一郎さんを忘れろってことなのですか?」と応える響子さん。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

未亡人、まだ、死んでいない妻ってことだよね?

でも違うだろ?

死んでないのじゃない、生きているんだ。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

「響子さん・・・これから、どうするつもりなんだ?」

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

「まだ、わかりません」

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

うんとしあわせになりなさい。今までの分もね・・・

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

あんたはこの日のために生まれてきたんだよ。

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