影裏:綾野剛と松田龍平

松田龍平

綾野剛と松田龍平

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出典:(C)2020「影裏」製作委員会

多分、この二人の役者が醸し出す世界がやはりとても良かったのであろう。綾野剛と松田龍平。淡々と流れる暗いような静かなような画面の中で、この二人のとても静謐なような演技は、ストーリーがどうであろうと関係なく、思わず最後まで見入ってしまうものであった。ある意味、この世代の俳優としては、最高のレベルにあると思うのである。そうでなかろうか。

二人のそれぞれが持つキャラクターが本当に良い意味で、この映画に投影されている感じがした。何なんだろうね。とにかく、この二人が醸し出す情景は心に染み入ります。

映画:影裏

映画『影裏』オフィシャルサイト
大ヒット上映中 綾野剛×松田龍平初共演 監督:大友啓史 原作:沼田真佑「影裏」(文春文庫刊)

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沼田真佑の芥川賞受賞作を綾野剛と松田龍平共演で映画化したヒューマンミステリー。今野秋一は転勤を機に移り住んだ盛岡で同じ年の同僚・日浅典博に出会い、心を許していくが…。監督は「るろうに剣心」シリーズの大友啓史。

今野は、転勤で移り住んだ岩手で日浅に出会う。慣れない地でただ一人心を許せる存在の日浅だったが、ある日、突然姿を消してしまう。日浅を探し始めた今野は、彼の父に捜索願を出すことを頼むが、何故か断られてしまう。そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔。ともに時を過ごしたあの男の“本当”とは…。

内容解説

心に残る言葉

この映画はしんしんと雪が降り続くように静かに進んでいくのだけれども、それなりに、心に残る言葉があった。フーム、そうだよなと思うところがあって、ここに記録しておくことにする。とても、的を得ていることかもしれないので。

全て、日浅(松田龍平)の言葉になるのだけれど。主人公の今野(綾野剛)の心に深く突き刺さり消えない言葉たちである。

お前が見てんのは、ほんの一瞬光が当たったとこだけだってこと。人を見る時はその裏にある一番濃いところを見んだよ。

死んだ木にコケがついて、また新しい芽が出る。その繰り返しだな。屍の上に立ってんだよ。俺達は。

釣り

この映画は、岩手県の全面バックアップで出来ている岩手県のための映画でもある。そして、釣りと川が一つのキイポイントにもなっている。とても、綺麗な情景である。

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出典:(C)2020「影裏」製作委員会

それは、古い映画になってしまうが、ブラッド・ピッドが若かりし頃のあの映画『リバー・ランズ・スルー・イット』を想い出してしまうのだ。どうしても。どこまで透明な清流と緑とその中にいる二人の若者。その時間の流れが止まっているようで、とても、愛おしくなってくるのである。


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『イングロリアス・バスターズ』のブラッド・ピットが感情の起伏が激しい主人公を好演したドラマ。モンタナの自然を舞台に、厳格な父を持つふたりの兄弟の絆と確執を、フライフィッシングを通して詩情豊かに描き出す。

内容解説

小説:影裏


影裏 (文春文庫)

第157回芥川賞受賞作。

大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。

北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、
ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、
「あの日」以後、触れることになるのだが……。

樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。

芥川賞受賞作に、単行本未収録の「廃屋の眺め」(「文學界」2017年9月号・受賞後第一作)、「陶片」(「文學界」2019年1月号)を併録。

内容解説

次のカスタマーレビューにこの小説の神髄があるような気がする。

みちのく盛岡の夏、深い森に包まれた渓流の様子が清涼で美しい。大きな水楢の倒木であったり、小さくすべっこい頭をもたげて這い出す山かがしだったり、清流から釣り上げられる山女魚、岩魚、鮠(ウグイ)、鮎。そして焚くとガラスのような炎をともす流木。様々の森のアングルを作者は巧みに、美しく描いている。
 渓流に夜の帳が下りると、主人公と日浅は、川音を聞きながら呑む。ともに日本酒が大好きで、冷やを飲む。日浅は主人公に、岩手でただ一人心を許せる男と言わせる男である。こういう構図もまた、渋くて良いと思わせられた。
 だが、 この作品を読んだ多くの人の言うLGBT、ホモセクシャルということについては、私にははっきり判らずじまいだった。会社で肩組み合う良きチームメイトを求める気持ちや、見込みある部下に入れ込んで育ててやろうとする気持ちは男たちの中に普通に存在するものだ。なにしろ、日浅という男は、現場でパートたちから「段ボール課長」と重宝されている。言葉使いも乱暴であり、焚火の前にジャケットを敷き、その上にあぐらをかくのが似合っていたりして、東京時代主人公がつきあっていたオネエの和哉とは明らかに異種の男である。和哉と日浅のタイプが違い過ぎて、どうしても呑み込めなかった。
 津波が釜石に押し寄せて日浅の命を奪い去ったあと、主人公は日浅の実家を訪ね、父親から話を聞く。いくつかの、小学校以来のネガティブなエピソードであったが、それがなにほどのことか、日浅はさほどのロクデナシとも思えない。幕切れに描かれた、主人公のこうした愚直な男っぽさに、私は好感が持てた。

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