佐藤正午ハードボイルドライフ

小説
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月の満ち欠け

梅雨に入る。久しぶりに佐藤正午を読む。「月の満ち欠け」。この小説家が直木賞を取った作品だが、今まで読んでいなかった。

あたしは、月のように死んで、生まれ変わる―この七歳の娘が、いまは亡き我が子?いまは亡き妻?いまは亡き恋人?そうでないなら、はたしてこの子は何者なのか?三人の男と一人の女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく、この数奇なる愛の軌跡。第157回直木賞受賞作。

意外と、面白いテーマだった。生まれ変わり、輪廻転生の物語だ。

この人の作品は、どれも、全て、それぞれの章が上手に組合されている。読み終わると、「ああそういうことか」と部分が結合し全体が判る感じとなっており、頭の良い筋書きとなっている。

5と鳩の撃退法

ところで、この「月の満ち欠け」は、津田伸一という直木賞作家の話で何と3部作になっていることを発見。

結婚8年目の記念にバリ島を訪れた志郎と真智子。旅行中に起こったある出来事がきっかけで、志郎の中に埋もれていたかつての愛の記憶が蘇る。洗練された筆致で交錯した人間模様を描く、会心の恋愛小説。

「月の満ち欠け」の前の「5」と後ろの「鳩の撃退法」なのだ。

かつて直木賞も受賞した作家・津田伸一は、とある地方都市で送迎ドライバーをして糊口をしのいでいた。
以前から親しくしていた古書店の老人の訃報が届き、形見の鞄を受け取ったところ、中には数冊の絵本と古本のピーターパン、それに三千枚を超える一万円札が詰め込まれていた。
ところが、行きつけの理髪店で使った最初の一枚が偽札であったことが判明。
勤務先の社長によれば、偽札の出所を追っているのは警察ばかりでなく、一年前の雪の夜に家族三人が失踪した事件をはじめ、街で起きる騒ぎに必ず関わる裏社会の“あのひと”も目を光らせているという。

こんな小説アリなのか!
小説表現の臨界点を超えた、まさに先が読めない展開――かつてない読書体験を約束します。存分にお愉しみ下さい。

この主人公が面白すぎる。このクセの強さは素晴らしい。

永遠の1/2

失業したとたんにツキがまわってきた。婚約相手との関係を年末のたった二時間で清算できたし、趣味の競輪は負け知らずで懐の心配もない。おまけに、色白で脚の長い女をモノにしたのだから、ついてるとしか言いようがない。二十七歳の年が明け、田村宏の生活はツキを頼りに何もかもうまくいくかに思われた。ところがその頃から街でたびたび人違いに遭い、厄介な男にからまれ、ついには不可解な事件に巻き込まれてしまう。自分と瓜二つの男がこの街にいる―。現代作家の中でも群を抜く小説の名手、佐藤正午の不朽のデビュー作。

最初の作品の「永遠の1/2」もそうだ。当然ながら、月の満ち欠け後の「鳩の撃退法」もチリバメ小説としてのクイズっぽさが満載である。

この小説で、佐藤正午は新しい小説の書き方を見つけたと言っても良いかもしれない。面白い。

時任三郎と大竹しのぶ。今も安定した存在感のある俳優二人の共演が楽しい。

僕のそっくりさんが現れて

毎日がラブとトラブルの連続。

恋愛って、ミステリーなわけさ。

輪廻転生

なお、輪廻転生については、飯田文彦氏(興味のある人は、是非、Wikipediaでも覗いてください)が詳しい。

欧米や日本で、多くの科学者、医師、大学教授たちによって研究され、驚くべき報告がなされている「死後の生命」や「生まれ変わり」に関する研究。著者は、その研究成果の数々を踏まえながら、自身の体験も交え、人生のしくみを明らかにする。本書は、「死後の生命や生まれ変わりを認めると、私たちの生き方はどう変わっていくのか」という命題に迫る、画期的な科学的スピリチュアル人生論である。『生きがいの創造』は初版発売以来16年、我が国にスピリチャル・ブームを呼び、200万部のベストセラー・シリーズとなった。

また、学術的にも、かつて福島大学の経営学の教授であったが、その分野にも論文を書いていた記憶がある。

異色の学者であったので、一度、「生きがいの創造」等の著作を読んでみるのも面白いかもしれない。

小説を書くということ。 - ほぼ日刊イトイ新聞
糸井重里がふだん受けない原稿依頼を引き受けた理由は、とにかくこの作品を書いた作者に会いたかったから。『鳩の撃退法』の佐藤正午さんと糸井重里の対談です。
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